こんにちは!片付けない妻です。
目黒区で起こった痛ましい事件で今、児童虐待や児童相談所に再び注目が集まっています。
最近、出版されたばかりのルポ 児童相談所 (朝日新書)も読み、改めて児童相談所の大変さを考えている今日この頃。
この記事を書いた頃は速報でも9万件を超えていませんでした。
が、今の現状はどうなっているのでしょう?
最近、児童虐待の対応件数が9万件にというニュース(社説:虐待9万件 児童相談所の充実急げ – 毎日新聞)に驚きました。
厚生労働省が発表している児 童 相 談 所 で の 児 童 虐 待 相 談 対 応 件 数とその推移 によると…
平成28年度中に、全国210か所の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は122,578件(速報値)で、過去最多。
グラフで右肩上がりなことが一目瞭然ですね。
児童相談所の今の態勢はもはや限界だ。
2014年度に全国の児相が対応した児童虐待の件数は8万8931件に上った。前年度から20.5%増え、過去最多を更新した。
13年8月に被害児童のきょうだいも心理的虐待を受けたとして対応を始めたことが影響している。 社説:虐待9万件 児童相談所の充実急げ – 毎日新聞より
児童虐待防止法が1999年に制定されてから、統計を取り始め現在まで虐待件数は増えています。しかし、救いたいのに、助けられていない日本の現実をご存知ですか?
虐待対応が9万件を超えた?→12万件超えました
社説のタイトルを見た時、『もう9万件超えたの?』と驚き、読んでみたところ88931件とのこと。
厚生労働省のHPで調べてみると…H26年度の速報が10月8日に出ていたようです。もう9万件に届きそうな勢いです…
平成26年度中に、全国207か所の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は88,931件(速報値)で、これまでで最多の件数となっている。
(主な増加理由)
○平成25年8月に「子ども虐待対応の手引き」が改正され、心理的虐待の例示に、きょうだいに対する虐待行為を追加。
○児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力がある事案について、警察からの通告が増加。
(参考)平成25年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数 73,802件
H28の速報まで2年で3万件以上も相談が増加してることがわかる。
それに対し、職員は十分に確保できているのだろうか?
児童虐待対応の最前線”児童福祉司”とは
- 子ども、保護者などから子どもの福祉に関わる相談にのる
- 必要な調査や社会診断をする。把握したことから、必要な援助を導き出す。
- 子どもと家庭の関係を調整する
などのお仕事をしています。(詳しくはこちらのHPで厚労省 児童福祉司の概要)
現在は任用資格で、国家資格化も検討中とのこと。
「実際にどんな仕事をしているか?」はなかなか脚光を浴びないのですが、今回出版されたルポには彼らの奮闘や課題が書かれています。
児童虐待の対応件数が増えて行く中で、対応する児童福祉司の人数が追いつかず一人当たりの負担が増加しているようです。
厚生労働省の専門委員会が9月に公表した報告書によると、13年度の対応件数は1999年度の約6.3倍に増えたが、虐待対応を中心的に担う児童福祉司は約2.3倍の増加にとどまる。児相の負担は重くなるばかりだ。
年間100件以上の相談
日本では人口5〜8万人に一人の児童福祉司が標準。虐待分野以外にも相談を担当しているので新規や継続を合わせて約100件を受け持っている。虐待分野への対応が進んでいる欧米では、児童福祉司一人当たり年間20~40名。
ちいさいひと1巻(【ちいさいひと 青葉児童相談所物語】児童虐待から子ども達を守れ!!児童福祉司の奮闘を描く漫画)より
つまり、日本では一人当たり3~5倍の対応件数がこなされているというわけですね。
せっかくの虐待の通告も児相や市町村が機能しなければ無駄骨になってしまします。オーバーワークでは一つの事案に対する対応能力も下がってしまいますよね。個人の能力が最大限発揮できるような職場環境を作れるようにしてほしい。
児童福祉司が疲労困ぱいでバーンアウトして退職するケースもあるそうですよ。
こちらは厚生労働省が発表している勤続年数の表です。
1〜3年の新人が4割程度、3〜10年の中堅層が4割程度、ベテランが2割をきっていますね。
様々な経験を積んで、ベテランになる頃には大半辞めてしまう&移動してしまうのはどうなのでしょう?
埼玉方式”48時間以内”に助けに行くからね
平成19年の資料なので、若干古めではありますが…厚労省は虐待の通告を受けてからの安否確認おを”48時間以内が望ましい”と定めています。
福井県と鳥取県ではなんと24時間以内となっています。素晴らしいですね。(詳しくはこちらで!厚労省 児相における安全確認を行うための「時間ルール」)
この48時間ルールは埼玉県で平成11年度から行なわれているものを全国で平成19年に取り入れています。”埼玉方式”を呼ばれているそうです。この埼玉方式の基礎となった藤井東治さんを副署長のモデルとして描かれたマンガがちいさいひと。
今後も相談件数は増えて行くのか?
年々、児童虐待の通告件数が増えています。今後も増えて行くと予測されます。
これまで相談できていなかったものを、相談しているだけで潜在的なニーズは変わらないんですよ。
これまで追加された項目や対策を見てみましょう。
- 2004年:虐待の定義の見直し、通告義務の範囲拡大、市町村の役割の明確化、要保護児童対策地域協議会の法定化
- 2007年:児童安全確認のための立ち入り調査等の強化、保護者の面会、通信制限の強化、保護者に対する指導拒否に対する措置明確化
- 2008年:里親制度の改正等家庭的養護の拡充、要保護児童対策地域協議会の機能強化、こんにちは赤ちゃん事業、養育支援問事業、子育て支援事業の法定化及び努力義務化
- 2011年:子どもの親権に関することを明確化
- 2015年:189番の追加(【189(いちはやく)】覚えやすくなったダイヤルで救える命はあるのか?)
詳細の知りたい方はこちら→厚労省政策レポート
「これも相談していいよ」と追加されただけでなく、専属の番号の追加、ポスターなどでの告知とマーケティング活動もやっています。
潜在的には、問題はあって相談しなかっただけです。本質的には人間は変わっていません。潜在的な相談、悩みは解決されていないので相談件数は増えるでしょう。
まとめ
ブロガーさんには、例えばマンガ王国などのショッキングな広告をブロックするということもチラホラ聞きますが…社会問題として認知していただければ…と思います。
ショッキングな内容を扱っているお仕事をされている方々は、常々助けようと奮闘されています。
偏見を持たずに、ぜひこう言った人間の闇の分野も見ていただければと思います。
児童福祉司のマンガ一覧↓
- 【児童福祉司 一貫田逸子 かくされた子ども】コミックサイト総合1位の座は伊達じゃなかった!
- 【児童福祉司 一貫田逸子 生贄の子】子どもを犠牲にしてバランスを保つ家族なんて壊れたらいい
- 【児童福祉司 一貫田逸子 逃げる子ども】子どもは親を責められない。それは自分を守るため。親のためなんかじゃないよ!
- 【ちいさいひと 青葉児童相談所物語】児童虐待から子ども達を守れ!!児童福祉司の奮闘を描く漫画
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