とある日の夜のこと
田舎の街の外れにある大型本屋で知られるTSUTAYAに向かう一台の車。
車を運転する男は、日々ブログ運営に悩みを持っているのであった。男の視力は0.3。運転するときだけかけるメガネ越しの眼差しは鋭く、どこか遠くを見ているようだった。
そして、思い悩むようにこういった。
「真っ当に生きてきた人のブログ作品なんかつまらない。」
ブログの王道
妻:急に何を言うの?
助手席に座る男の妻は半ば興味がなさそうに聞いてきた。
夫:あぁ、そのままだよ。真面目に生きてきた人のブログはつまらない。
男は続ける。
夫:荒木先生の漫画術を読んだんだ。漫画の王道とは何かということを書いてある本で、ジョジョが好きなオレとしては最高に名著だったんだ。
妻:漫画とブログがどうつながりがあるの?
仕方なく妻は聞く。
夫:漫画は総合芸術だと、定義しているんだ。たしかに、ストーリーだけなら小説になる。絵だけなら、美術館で展示されるような芸術作品だ。ストーリーと絵の融合、それが漫画であり、総合芸術。どちらかがかけてもいけない。その点ではブログも総合芸術に昇華しつつあると言えるんだ。
妻:…。それで、真面目に生きてきている人のブログはつまらないというの?
夫:あぁ、まずは荒木先生の漫画における【基本四大構造】ってやつがあるんだ。
- キャラクター
- ストーリー
- 世界観
- テーマ
夫:どこかを尖らせて勝負するって方法もあるらしいのだが、これでは3年もあれば飽きられてしまうらしいんだ。
ゴゴゴゴゴゴ
王道の漫画術
夫:長い目で見れば、愛される漫画は4つの要素を満たしているものが王道で長く愛されるそうなんだ。いくつか重要視すべき点はあるだらうが一番心をえぐられたヤツがあったんだ。俺にとっちゃゴールドエクスペリエンスだったがな。
妻:…。
(妻はジョジョをしらない。)
ドドドドドドド
夫:ストーリーを構成する上で鉄板になるのは、プラスなんだ。マイナスはあってはならない。わかりにくい表現だが、プラスというのは、前に進む、主人公が強くなるとか。ドラゴンボールで言えば天下一武道会での優勝とかだな。前に進む、成長していく姿が読者に共感を抱かせるんだ。
夫:前置きが長くなったが、どれだれ前に進めたか?ってところで人は大きく感動するもの。だから、不良だった人が先生になったり、ビリだったギャルがどっかに合格したりする話がヒットする。TV番組でもダイエット企画を取り上げるなら、10キロとかザラだろ?生活習慣的に考えて、マイナス要因がある方が感動するんだよ。
妻:たしかにそうかも。10キロ痩せた方法とか知りたい!
夫:だから、真面目に、真っ当に生きてきた人より、どこか欠陥がある人の方がより王道街道に乗りやすいんだ。マイナス要因の振り幅が大きいから、読者は増えるもの。話題性も大きい。成長するを共にできるものを読者は求めているんだ。
ブログにはチャンスはある
妻:でも、成長すれば良いなら誰にでもチャンスがあるんじゃないの?
夫:チャンスはある。しかし、聞きたい。果たして、真っ当に生きた人のブログを読みたいか?たしかにお役立ちブログなどを作ればいいかもしれない。ブログという戦場で戦うならキャラクターが主役である以上、マイナス要因が強い人ほど、エネルギーがある。
夫:常に上を目指さないと腐っていくんだよ。敵のスタンドはグリーンデイだ。スタンドも精神的エネルギーが生み出している。波紋を学べど、貧弱!無駄!無駄無駄無駄無駄!!!とやられてしまうのがオチだ。
夫:つまるところ文体で勝負することになるだろう。
TSUTAYAに着く。
男は煮え切らない感情を他所にお目当ての品を探しに行くのであった。
(CM)
今悩める男子の名作!
バーン!
(CM終わり!)
TSUTAYAから出てくる男の顔はどこか満足した様子だった。
男は車に乗り、また鋭い目付きで運転をする。視力は0.3だ。メガネの効果もあり1.0まで増強させることに成功している。
帰り際にまた凝り性もなく男は語る。
夫:文体の話だが。ジョジョの第5部でセッコがこう言っていた「国語の教師か、うう…うう…うおお、おっ、おっ、オメーはよォォォォ。」と。お利口ちゃんではダメだ。文体とはキャラクターがあって初めて光るモノだ。間違った日本語もキャラクターに合うなら正解といえる。文体があって、キャラクターがあるんじゃない。キャラクターがあるから文体があるんだ。
夫:簡単な言葉でも同様のことが起こる。同じ文字を書いたとしよう。
- (満足している人)お金は大事です。
- (借金まみれの人)お金は大事です。
夫:バックボーンによって意味は変わってくるんだ。だから、キャラクターってのは大切なんだ。
妻:…。考えすぎじゃない?
夫:クリエイターってやつは四六時中悩んでんだよ…。
妻:…。
帰宅
!?
!!
まとめ
「黄金の道」とは、さらに発展して行くための道。今いるところから、先へ行くための道です。「自分はどこへ行くのか?」を探すための道とも言えます。
ですから、変なことを言うようですが、この『漫画術』に書いてある通りに漫画を描いてはいけないのです。僕が「黄金の道」として書いたことをそのまま実践しても、そこに発展はありません。
(p280より引用)
こうして、男は1日の労をねぎらい床につき幸せな夢を見たとさ。
めでたし、めでたし。
参考文献
漫画も読め!